この世でいちばん大事な「カネ」の話 西原理恵子著

どんなときでも、働くこと、働きつづけることが「希望」になる。

西原さんがご自身の実体験から得た一つの結論が、「希望」を持ち続けること。
貧しさは連鎖する。貧乏はどうあがいても治ならい「不治の病」。そして、貧乏からは抜け出せないと諦め、「希望」を失っていき負のループにはまり込んでいく。その「希望」を持ち続けるためには、西原さんの言葉を引用すると、

働いていれば、人間、そんなにものごとを悪く考えたりしないものよ。だから大事なのは、単に「カネ」があるってことじゃない。働くこと。働きつづけることが、まるで「自家発電」みたいに、わたしが明るくがんばるためのエンジンになってくれた。

でも、「カネ」は美化するものではなくて、子供の頃から「金銭感覚」を身に付けることが大切だって西原さんは言ってくれてる。その感覚は日々の習慣の積み重ねで養われるのもであって、「カネ」って人間関係だ!とも。そして、日本ってお金の話をするのは下品だとか、お金より大事なものがあるなんていう文化があるけど、西原さんの言葉を借りれば、―――「お金じゃない。人の心の豊かさは」何て言いきってしまうことが、どれだけ傲慢なことか。「いかにも正しそうなこと」の刷り込みが、どれだけ事実に対して人の目をつぶらせ、人を無知にさせるのか。―――っていうことなんだな。「アタマ」で考えてるだけじゃ、金銭感覚は身につかないし、もちろんカネは稼げない。自分でいろんなことを経験して、外に出て行っていろんなものや人を見て実体験を積み重ねることが必要なんだって西原さんは教えてくれる。自分が貧乏じゃなくてもいろいろな境遇の人と付き合ったり、見たりしてくると、想像力が養われて貧乏な人々がどんな生活を送っているかってこともわかってくるはず。そのためには、しっかりと「カネ」を稼ぐこと、「カネ」と付き合うことを実体験を通じて考えていくことが絶対必要なんだと思うようになるんじゃないかな。きれいごとじゃない「カネ」のことを。
このおわりにで西原さんが面白いことを言ってて、テレビのニュースはやみくもに鵜呑みにしないって。―――自分に都合のいいことしか言わない。自分の国の利益になることしか流さない。それが「ニュース」って言われているものの実態じゃないかって思っている―――だから、ニュースとかじゃなくて自分の目で足で手で現実を見て理解して自分の体に刻み込んで欲しいって、自分の子供たちにそうしてほしいって思ってる西原さんに個人的にも息子を持つ一人の親としても共感できる本でした。