経済

もうダマされないための経済学講義 若田部昌澄著

経済学はなんだか難しそう、経済ってそもそもなんだろう?という方にはお勧めの一冊です。若田部先生が、難解な数式やデータではなく、わかりやすい言葉で講義を進めてくれます。特に、歴史を知る、歴史に学ぶという視点で世界大恐慌や日本の高度成長期、バ…

円のゆくえを問いなおす 片岡剛士著

3.11の震災以降、さらに深刻になった円高ですが、今年の2月14日の日銀の金融政策決定会合で発表された「物価上昇率の目途」として1%になるまで金融緩和を行うとしたことで、円安方向へ振れたのも束の間、その後の日銀の金融政策に大きな変化もなく市場の…

円高の正体 安達誠司著

超円高が定着している日本経済ですが、なぜ円高になっているんでしょうか?ニュースなどを見ていると時折、円高のメリットとして海外旅行が得になるとか輸入品が安く買えるとか、企業などは海外企業を買収しやすくなるとか、政府もこのような企業を支援する…

ユーロ危機と超円高恐慌

岩田規久男先生の新著。 第1章から3章まではユーロ危機の実情と今後の行く末を懐疑的に解説。最適通貨圏理論からいまのユーロ圏、特に南欧諸国は最適通貨圏ではなく、ユーロ体制を維持するためには、いまのユーロ17ヶ国から独仏を中心にした5ヵ国が最適だろ…

ダブル増税 大義はあるか 2011.10.12朝日新聞 朝刊13面

2011.10.12の朝陽新聞の朝刊13面オピニオン欄に「ダブル増税 大義はあるか」と題し、(以下「」内引用)「野田政権が推し進める震災復興のための9.2兆円の臨時増税案。その先には社会保障財源のための消費増税が控えている。デフレ不況が続くなか、二重の増…

震災恐慌 田中秀臣・上念司共著

ブログ更新をさぼっていましたが、少し前に読了した田中秀臣先生と上念司さんの対談形式で、この大震災に端を発する大不況への警鐘を鳴らす共著「震災恐慌 経済無策で恐慌がくる!」の読書感想文を書いてみた。今回の3・11大震災後の日本経済が確実に復活す…

経済復興 大震災から立ち上がる 岩田規久男著

3月11日に発生した東日本大震災からの復興をテーマに過去の三大危機である、関東大震災、戦後、阪神・淡路大震災からの復興を振り返りながら、復興に必要な財源問題、広範囲に広がった被災地の新しい街づくり、そして原発問題に端を発するエネルギー政策につ…

海賊の経済学 ピーター・T・リーソン著 山形浩生訳

「海賊は合理的な経済人だった!面白くてしかもためになる。レヴィットらの『ヤバい経済学』に続くひさびさに痛快な経済書だ。」と、経済学者の若田部昌澄氏も絶賛とする同書。 これを読めば、海賊マニアになること間違いなし。そして、海賊の経済学の崇拝者…

【朝日新聞】オピニオン欄 八田達夫氏『「独占」の弊害なくす契機』

4月12日付け朝日新聞朝刊のオピニオン欄に計画停電をテーマに、八田達夫氏が寄稿されていた内容が自分にとっては大変参考になったので、こちらに記録の意味も兼ねて転記してみた。 なお、転記部分は引用欄に、引用ごとの記述は小職の雑感ですので、気になさ…

フォールト・ラインズ ラグラム・ラジャン著

インド生まれで、元IMFのチーフエコノミストの著者ラジャン氏の話題になっている翻訳本を読んでみた。 ラジャン氏の名前を知ったのは、竹森俊平著「資本主義は嫌いですか」で、2005年のジャクソンホールでの当時のFRB議長アラン・グリーンスパンが最後の参加…

デフレと超円高 岩田規久男著

岩田先生は、すごく怒っていた! 3月2日に新宿紀伊國屋ホールで開催された同先生の最新著書「デフレと超円高」の講演会を拝聴してきました。 第1部では、岩田先生の講演。 第2部は、飛び入り参加の飯田泰之先生が司会を務めた岩田先生、若田部昌澄先生と鈴木…

競争の作法 齊藤誠著

なぜこの本を読もうと思ったのか、はっきりした理由はよく分からない。 たまたま新聞広告にあった同書にふと目が止まった程度の理由だったと思う。 なんともすっきりしない読後感があり、あえて読書感想文を書こうと思った次第です。同書の大半は、以下の2点…

経済学的思考のすすめ 岩田規久男著

岩田先生の新著を読んでみた。 今回の題材になっているのが、辛坊治郎・正記著の「日本経済の真実―ある日、この国は破産します」である。私は、書店でトンデモ臭がプンプンしており端から敬遠していたので、読んだことはないが、岩田先生は隅々まで読まれた…

通貨混迷の先は(2011年2月5日付朝日新聞朝刊)

朝日新聞に「通貨混迷の先は」と題し、竹森俊平氏と行天豊雄氏のそれぞれのインタビューが掲載されていた。 特に、竹森氏のそれが現状の通貨変動について分かりやすく、的を得た内容だったので、記録としてブログにアップしてみた。以下、その内容です。 昨…

不謹慎な経済学 田中秀臣著

著者の最新刊「AKB48の経済学」の中でこの2008年2月初版の「不謹慎な経済学」に触れていたので、気になり読んでみた。 タイトルにある「不謹慎」という文字が気になるが、同書を執筆した著者の意図は一般の人々に「経済学」への正しい認識を持ってもらおうと…

AKB48の経済学 田中秀臣著

著者である田中先生の前著「デフレ不況 日本銀行の大罪」では、現状の日本経済の低迷の原因が日本銀行の誤った金融政策であると辛辣な批判を展開されていたが、今回の「AKB48の経済学」でも随所にその主張がみれます。 ただ、タイトルの通り内容の主役は、今…

週刊エコノミスト12/14号から

今週のエコノミストの「論壇回顧」という特集記事中に「恐慌学者バーナンキの手にも余る世界不況QE2に懐疑的なアメリカの経済学者たち」と題し、九州大学准教授の荒川章義氏という方が寄稿されており、面白かったので要約をアップしてみた。冒頭でFRBの元金…

ゼロから学ぶ経済政策 飯田泰之著

飯田泰之先生の最新本が新書で発刊されました。このような経済関連書籍が手軽に新書で手にとることができるなんて、とても有意義なことだなと思いつつ、読んでみました。まずは、経済政策は誰のため?なんのため?にあるのかという点から第一章が始まる。 誰…

人口減少デフレ論を考えてみた

VOICE12月号の中で、「人口減少デフレ論」について論じられている。 この項を何度か繰り返し読んでみたのだが、読めば読むほどいろいろな疑問が湧いてきた。まず「デフレ」という現象は、物価の持続的な下落を意味するが、ここでの物価は、「一般物価」のこ…

日銀金融緩和の効果を聞く〜週刊エコノミスト11/16号〜

今週のエコノミスト11/16号に「日銀金融緩和の効果を聞く」と題して、岩田規久男氏と翁邦雄氏のインタビューが掲載されていました。 ちなみに、聞き手は同誌編集部の同じ方が担当されていたので、比較対象となる記事になっていると思い、ブログにアップしよ…

「不安」を「希望」に変える経済学 岩田規久男著

徹底的に日銀批判を展開しインフレ目標の採用を中心とした金融政策を一貫して提言されている岩田規久男先生の著書を手にとってみた。 同書は、「Voice」の2010年3月号、5月号〜7月号にに掲載された「日本『低成長』脱出論」に加筆・修正されたものである。 …

日本は破産しない! 上念司著

日本経済の不況の原因である「デフレ」からの脱却に向け精力的に活動されている上念氏の新刊を読んでみた。 私自身も同氏の著書である『デフレと円高の何が「悪」か』、『「日銀貴族」が国を滅ぼす』を読み、日本経済の不況の原因と蔓延するトンデモな主張を…

日本の「失われた20年」片岡剛士著

2007年の米国のサブプライム住宅ローン問題が発生した当初、日本経済への影響は軽微だという見方が大勢であったが、現状では2008年9月のリーマンショックによる世界同時不況を機に、日本経済がこれほどまでに打撃を受け低迷している。 なぜ日本経済がこれほ…

いま本当に円高なのか?飯田泰之寄稿 VOICE11月号

円高が進んでいる中、9月15日に政府・日銀は為替介入を実施したが、その効果は一時的であったようだ。 さて、この円高、よく「円高ではなく、アメリカの経済事情によるドル安なんだ」とか「実質実効為替レートでみれば、現在の為替水準はそれほど円高ではな…

世界一シンプルな経済学 ヘンリ・ハズリット著 村井章子訳

初版が1946年という同書。 経済学の古典という名著(らしい)。 著者は、経済ジャーナリストとして、リバタリアンという経済思想を持つ人。 ちなみに、同書の解説を若田部昌澄先生が書かれていたのも、同書を手に取った動機の一つ。さて、同書の内容はタイト…

不況は人災です!〜みんなで元気になる経済学・入門 松尾匡著

遅ればせながら、同書を読んでみた。 ちなみに、著者の松尾匡さんのことはこの本を知って初めて知った次第で、そのきっかけは事務屋家業さんのエントリーからです。 また、同書の視点である「左派」についても、お恥ずかしい話、左派とか右派とか、保守とか…

「日銀よ、大胆な円高対策を」若田部昌澄氏寄稿(Voice10より)

80円台前半まで円高が進み、民主党の代表選の直後に政府・日銀による為替介入が実施され、85円台まで円安が進んだが、まだまだ先行きは不透明な情勢である。 そんな中、Voice10の巻頭の言葉に、若田部昌澄先生が「日銀よ、大胆な円高対策を」と題し寄稿され…

この金融政策が日本経済を救う 高橋洋一著

自身の経済学の基礎知識習得のために、以前に同書を読んだ時に、その要点を備忘録代わりにEvernoteにメモってのを、こちらに移植してみた。 読書感想文ではなく、ほんと要点のまとめになっておりますので、ご容赦を。(汗)でも、直近の円高にまつわる問題に…

人口負荷社会 小峰隆夫著

少子高齢化、人口減少問題がここ数年、クローズアップされてきており、特に高齢化による若者世代の負担が増えていく社会保障問題が深刻になってきている。 この問題に著者は、「人口オーナス」という独自の概念を用いて、取り組まれている。まず、キーワード…

「日銀デフレ」大不況 若田部昌澄著

タイトルだけ見ると、日銀批判という印象も受けたが、その内容はいまの日本が陥っている不況の中味を適切に分析し、1929年の世界恐慌や昭和恐慌の経済史の観点から、いまの不況脱出に必要な政策は、財政金融政策であると分かりやすく解説されている、私のよ…